婚前契約
〜結婚生活の転ばぬ先の杖〜

結婚に不安に感じてることはありませんか?

例えば…

その不安、婚前契約で解消できます

そもそも婚前契約って?

婚前契約とは…

円満な生活のために、結婚に先立ってパートナー間で行う契約のことをいいます。

目的としては、主に3つが挙げられます。

 

①夫婦間の家事分担などについての生活の約束事を決める

②夫婦財産について合意する

③万が一、離婚に発展するトラブルが生じた場合の決め事を行う

海外では…

海外ではプレナップ(Prenup)と呼ばれ、主に、アメリカ等欧米諸国で多く利用されています。

 

例えば、フランスで広く認知されている市民婚では、夫婦財産契約書を結ぶことが基本となっていたり、イスラム圏内であるパキスタンで婚姻を行う際には、婚姻時にプレナップにあたる「ニカナマ」という婚姻証明書が必ず発行されます。

 

このように、普及段階である日本では馴染みが薄い婚前契約ですが、海外では文化として普及している国が多くあります。

婚前契約の特徴

婚前契約でできること

婚前契約では、契約書という形で、財産についてや、家計のこと、夫婦生活や、趣味のこと、不測のトラブルについてなど、パートナー毎の形に沿った、様々な規定を作成することができます。

 

規定の内容も大切ですが、万が一のトラブルを予防するため、また、婚前契約書を作成する中で、結婚前にお互いの価値観について深く話し合える場を持てる、ということが何より大切だと考えています。

 

 

<具体例>

①結婚、その後の生活について、お互いの価値観を確認・共有することができる。

婚前契約書を作成する際には、家事・育児の分担や、生活費の負担についてなど、将来の生活を具体的にイメージしながら様々な事柄を話し合います。

婚前契約書の作成を通じて、お互いの理解が深まり、離婚の原因として多く挙げられる「性格の不一致」を回避することができます。

 

 

 

②結婚後の自分の財産について、事前に確認することができる。

万が一、離婚となった場合、冷静な判断が難しい状況の中で、話し合いをすることになります。

また、婚前に財産を築いた方にとっては、自分の財産がどこに帰属するのか、確認しておきたいと思う方も多いのではないでしょうか。

婚前の財産についての取り決めは、現行法上、婚姻届出前に限定されています。婚姻後に夫婦財産についての契約を行うことは、民法758条に抵触し許されていません。

 

【民法758条】(夫婦の財産関係の変更の制限等)
夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は、変更することができない。

 

このことからも、事前に自分の財産について確認をすることをおすすめしています。

 

なお、夫婦財産契約(婚前契約)は民法上で規定されており、該当部分は以下の通りとなります。


【民法760条】(婚姻費用の分担)

夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。


【民法761条】(日常の家事に関する債務の連帯責任)

夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。


【民法762条】(夫婦間における財産の帰属)

1 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

 

 

 

③不貞、浮気の防止に役立つ。

異性関係というのは、パートナー同士の関係を悪化させてしまう大きな原因のひとつではないでしょうか。

不貞、浮気をしてしまう原因は様々ですが、事前にルールがある場合、それが抑止力になる可能性があります。

例えば、パートナー間で、ほんの少しのすれ違いがあった場合も、「不貞した場合、慰謝料300万円を支払う」条項を取り交わしていた場合、それが一瞬の気の迷いを払拭してくれることは多々あるのではないか、と考えます。

円満な夫婦生活を末長く続けていくために、ちょっとした「お守り」を持つことも良いのではないでしょうか。

婚前契約でできないこと

お互いが合意をすれば、内容については自由に定めることができますが、万が一争いになった場合には、民法に規定されている通り、公序良俗に反するような内容については、無効になることがあります。

 

民法90条】(公序良俗)

 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

 


公序良俗に反する内容としては、

 

・同居や扶助の義務の否定すること

・差別的であること

・一方的な申し出で離婚が成立すること

・第三者の権利を侵害すること

 

が例として挙げられ、該当する条項は無効と判断されます。

 

<具体例>

①「仕事、家事全ては一方が行い、もう一方の負担にならないようにする」等、日常家事債務の連帯責任を否定している、著しく不平等な条項

→上記(「婚前契約でできること」具体例②)、民法761条に反するために、否定される場合が多いです。

 

②「一方が申し出た際には、速やかに離婚をすることができる」等、夫婦どちらかの申し出によって簡単に離婚できてしまう条項

→根本的に、婚姻については、条件や期限などの制限を付けることが認められていないことから、争いになった場合は婚姻自体が認められない可能性があります。

 

③「不貞を行った場合は、慰謝料として1億円を支払う」等、過大な内容の条項

→個々の環境によって相違は出てきますが、裁判例から見ると、不貞慰謝料は数十万円〜300万円が相場となっています。

 

 

例外

財産に関する部分以外であれば、双方の合意の元に内容を修正することが可能です。

それぞれの生活ステージによっては、事前に決めていた条項が重荷になってしまうケースもあるようです。

また、仕事が忙しい等、中々話し合う機会を持つのが難しいと考えるパートナー同士もいるかもしれません。

そんな時、例えば1年に1回など、定期的に見直しを行う、最新の環境にあったパートナー同士のルールを考える場として、婚前契約は有効であると考えます。

 

 

弁護士紹介

KH

弁護士 服部 浩司(東京弁護士会所属)

慶應義塾大学法学部法律学科、中央大学法科大学院 卒業

 

最高裁判所司法研修所での研修終了後、都内法律事務所に入所し、企業法務(保険法、独占禁止法)、交通事故、刑事事件などを通じ、交渉業務や訴訟業務を中心に経験を積む。

その後、日本中に広く、質の高いリーガルサービスを届けたいとの想いから株式会社Legal Innovation Labを設立。

2020年よりユニヴィス法律事務所に参画し、企業法務、カウンセラー・婚姻関係の法務支援等を行っている。

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